FTXの興亡:3日で崩壊した300億ドルの暗号帝国

693
FTXの興亡:3日で崩壊した300億ドルの暗号帝国

天才と欲望:FTX崩壊の瞬間

3回の暗号市場暴落を分析してきた私でも、FTXの崩壊スピードには驚愕しました。サム・バンクマン=フリード(SBF)が率いる320億ドルの取引所が、わずか3日で史上最速の経営破綻を迎えたのです。

アラメダ・リサーチの闇

問題はSBFのヘッジファンド「アラメダ・リサーチ」から始まりました。後に明らかになったのは、アラメダがFTX顧客資金を私的に流用していた事実。顧客の貯金を賭け金にするなんて、『効果的利他主義』とは程遠い行為です。

破綻の数理

定量分析の観点から見ると、FTXは顧客資金80億ドルをアラメダに貸し出していました。これは銀行が預金の25%を無断で貸し出すようなもの。さらに自社トークン(FTT)を担保として価値を操作し、資金調達を続ける——シリコンバレー用語で装ったポンジスキームでした。

見過ごされた危険信号

  • 財務責任者が数学専攻の学部生
  • リスク管理委員会不在
  • アラメダ経由で購入した3億ドルのバハマ邸宅
  • 規制当局が訪問中もコーディング続けるSBF

詐欺の心理

最も興味深いのは、SBFがこの行為を正当化した心理です。『結果が手段を正当化する』という思考は、規制を『FUD(恐怖・不確実性・疑念)』とみなす暗号業界の悪しき傾向そのものでした。

暗号市場への教訓

Mt.GoxやTerra/LUNAとは異なり、FTX崩壊はハッキングでも技術的欠陥でもなく、創業者崇拝が招いた古典的詐欺でした。分散型金融における透明性と法遵守の重要性を改めて問い直します。

毎週木曜配信の『Web3 Unlocked』でさらに深掘り分析をお届けしています。

JadeOnChain

いいね84.53K ファン1.44K